ZINE 2010 THE CULMINE

2010年 TOKYO ART BOOK FAIR 出品本
ALL LITHOGRAPHなのです。


表紙


世にあまた不可思議のおおかりし事言うにまたぬ。大地は凍てつき果てようとも、灼熱にとろけ砕けようとも、必ずやまた盛り上がっては町になるだろう。古くは巨石文明の頃より蓄積された世の不思議を本書、チルマインにて開陳できる喜びは大ではあるも、かかる世の技をみるにつけ、世界宇宙の広さ深遠に立つ瀬なしと、おのずから身をはかなくしせなむ危うさことあやうかれ、まずはなにより己が部族の誇りを尊き血脈をこそ資源として、いざ西国へと赴かん。 




ひろびろとした その背中に
もうもうと油田の煙はたなびき
自動車の列に 隕石が落ちる
乗り捨てられたフェリーを猿達はテリトリーにして
バナナの塔を建てるんだと
ジャンボジェットのなる木に似てる
湖の岸は先週よりも遠い
だれか曜日を教えてやんな
力の限り漕げるボートを知らないか
底が抜けても走るやつ





秒針に真っ二つ断ち割られた
お前の涙は砂漠を 沼みたいにしちゃう威力があるとかないとか
数秒前に戻って 話題を変えよう
まだ倒れる鉄塔が立てる音みたいに泣く前な
豹の時代の俺の突起にアンカーがひっかかる
サビサビな列車砲も絡まっている
伍長が何か叫ぶが
アンパンを開ける包み紙の音がうるさくて聞えない
そして、もうもうとあの時代が走り出す 


都会者のまなざしはさびしげだビルのまどから遠くながめる山なみはしんきろうのようにはかなげで美しい